2022-05-15

ストレスマネジメントのきほん

ストレスというと、直接的に精神的負荷がかかるような出来事によるイメージが強いですが、それ以外にも、日頃のちょっとした違和感程度の目に見えない蓄積に着目すると、ストレスマネジメントがしやすいことがあります。また、「 暑い 」「寒い」 「音・匂いが気になる」といった感覚的なことも代表的なストレスで、もちろん「痛い」「疲労感がある」といった身体的な自覚症状も大きなストレスです。

ストレスをコップの水に例えると、精神的/感覚的/身体的な違和感の蓄積に、日頃のケアが追い付かない場合、コップの水位はどんどん上がってきます。そこに精神的な負荷の大きい出来事が重なると、一気にコップの水が溢れてしまうことになります。精神的負荷がかかる出来事の中には避けられないものもあります。大きなストレスの発生時に備え 、日頃からコップの水位を上げないように、目に見えないレベルの小さなストレスの解消をこまめに行っていくことがとても大切です。

キーワードは「快適さ」。違和感の原因を特定・言語化し、変えられるものから一つずつ変えていくことが、快適さを整え、自己コントロール感を生み、ストレスの水位を減らすことにつながります。

コロナ禍のストレスケア

コロナ禍はまさに、この「日頃のちょっとした違和感」を爆発的に・しかも長期的に増やす出来事でした。自分でも ”我慢 できる 程度 ”と思えるようなストレスでも、頻繁な繰り返しや長期化により、コップの水位は上がっていくため、コロナ禍がない頃よりも、ふとしたきっかけでコップの水が溢れやすく (=心身の不調として表面に現れやすく )なっているのではないかと思います。

難しいのは、世界的な状況が変わらない限り、違和感一つひとつの解消が難しいことです。コロナ禍が続く限り、誰しもコップの水位のベースが平常時より高くなっていることを念頭において(ここは、腹をくくって!!)、それ以外の、変えられる違和感へのケアをより一層、細やかに行っていく必要があると考えます。

原田 麻純(はらだ ますみ)/産業医・ヘルスプロモーター

元文系・元会社員の医師.東京大学文学部卒業、広告制作会社勤務.鹿児島大学医学部卒業後、総合内科に勤務.鹿児島県内の病院で健診・産業医の職務に就きながら、個人で産業保健・学校保健をメインにへルスプロモーション活動を仕掛けている.目の前にいる相手にフィットする分かりやすい言葉と表現で情報を伝えることに情熱を注いでいる.趣味はカメラと楽器.動物が大好き.

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